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FPによる「女性の働き方とお金について」

働く女性にとって、「結婚する?」「出産する?」「その時はいつまで仕事を続ける?」といったテーマは大きな問題ですね。
自分が目指したいキャリア、仕事の内容、やりがい、パートナーの協力、子育てを支援してくれる人の存在などは人それぞれ。これらを総合してキャリアプランを考えていくことになりますが、男性では必ずしも考えなくても済む壁に、女性は何かと頭を悩ませることが多いものです。
そんなときに、何をポイントに今後のキャリアを選択していけばよいのでしょうか。今回はそのヒントのひとつとして、キャリアによって変わる「生涯賃金」についてお話ししましょう。

続けるべきかやめるべきか?

働く女性の多くが、キャリア上初めて大きな選択を迫られるのが、結婚や出産のタイミング。
「結婚してご主人の職場に近い場所へ引っ越しをすることになった」、「出産や子育ての負担を考えて」、といった理由でそれまでに続けていた仕事を継続するのが難しくなるケースは少なくありません。
このときに取れる選択肢には、休業を取って復職する、退職をする、非正規に転向する、退職をしてその後復帰する、などがあります。
誰もがすべての選択肢から自由に選ぶことができるわけではなく、パートナーの状況、お勤め先の状況、お住まいの場所やお仕事内容、勤務時間、通勤時間、実家などからの支援が受けられるか、といった条件によって大きな個人差があります。

(賃金構造基本調査 2006年より作成 みずほ総合研究所 ※1.週25時間勤務 ※2.週40時間勤務の場合)

たった10年のブランクで「稼げるお金」は半分に!

ただ、こうした選択の違いによって、生涯で稼ぐことのできるお金は大きく左右されます。
たとえば、大学卒業後に就職し、30歳で出産を機に働き方を変えるケースを見てみましょう。
平均的な収入の方が、正社員としての雇用形態を継続したまま産前・産後休暇を取得し、その後フルタイムに復帰、60歳まで勤続した場合の生涯賃金はおよそ1億8,000万円です。
これに対して、出産を機に一度退職、10年後の40歳で正社員として再就職した場合の生涯賃金はおよそ9,000万円。10年間のブランクで稼げるお金は半分になってしまうのです。

非正規雇用やパート勤務は資金面でより厳しく!

さらに、40歳での復職時に非正規雇用やパート勤務を選ぶと、生涯賃金はより少なくなります。また、一生涯非正規雇用で通す場合や、出産後は専業主婦で通す場合にはそれぞれおよそ5,000万円、3,000万円と、正社員の30%から15%ほどしか稼げない計算になります。パートナーの状況にもよりますが、この金額ですと日常の家計のやりくりは維持していけるものの、教育資金や住宅の購入資金、ご自身の老後資金などを用意するのは厳しくなる可能性が高くなります。

こうして見てみると、お金の面では正社員で働き続けるのが有利になることが分かります。とはいえ、日本ではまだまだ女性としてのライフプランとキャリアを両立するのは簡単ではありません。お勤め先の理解、パートナーの協力、その他ご家族の支援など、さまざまな条件が整ってこそ、ご自身のキャリアアップにも集中できるものです。
無理をしてフルタイムで仕事を続けた結果、途中で体を壊したり、子育てや家庭に問題が生じたりするようでは、キャリアへのモチベーションも下がってしまいます。
ご自身やご家庭に合った方法やバランスを探しながら、少しでも長く、やりがいを感じながら続けられるお仕事に出遭うことが、働く女性の永遠のテーマといえるでしょう。

FP 加藤梨里氏
ファイナンシャルプランナー(CFP(R)認定者)、マネーマネジメントコーチ、金融知力インストラクター
2011年度日本FP協会「くらしとお金の相談室」相談員
保険会社、信託銀行勤務を経てファイナンシャルプランナーに。
金融教育機関や生涯学習センターなどでセミナー講師を務めるほか、日本FP協会での相談業務や金融教育授業にも多数携わっている。
大学院で健康増進や医療保険を研究し、雑穀エキスパートの資格も保有する「健康マニア」。
個人相談では、健康度をアップしながら節約にもなる生活術を提案している。

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